やきものを好むのは恋人にほれるのと同じ
魯山人の弟子で当時80歳になる美術評論の重鎮 秦秀雄氏が詩人 室生犀星の愛娘 朝子氏に対して陶芸論を語る。「美人にほれるのではなく、ほれた女が美人なんだ」と独自の哲学の吐露から始まり「やきものの最初の動機はわれわれが食べる日常の食器作り。それを忘れて芸術家として人にあがめられることを望んでいては本質を見失う」と現代陶芸家のあり方を憂う。そして「陶芸家は職人たらんとして芸術家になるものだ」と断言する。尚、秦氏には若き中島誠之助氏にまがいものをつかませて修行させたというエピソードが残っている。
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