国家学の小野教授は学生に分厚い本を読ませて「この本は手強いぞ」と言うのが口癖だった。時にはレンガ校舎のキャンパスを出て学生街の喫茶店でビール片手の講義もあった。政治学は自然科学のような法則を学べない。法学部の六法全書や商学部の複式簿記のように社会に出てすぐ役立つ授業もない。ただただ「獣でもなければ天使でもない」人間が織りなす壮大なドラマを学んでいくだけであった。国家が宗教、法律、経済、軍事力を孕むと「人格と意思」を持ち始め、やがて戦争が始まるのであった・・・
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