真夜中の盗掘(バンチェン遺跡)
陶器は腐らない。ゆえに遺跡の証人だ。私が学生時代、世界史の授業ではナイル、チグリス・ユーフラテス、黄河の流域が文明の発祥地と習ったが「バンチェン」が語れることはなかった。バンチェンはタイのメコン川流域で、1960年に紀元前3000年前の土器が発掘された。東南アジアにも文明の発祥の地があったのだ。さて博物館では、人々は縄文時代、弥生時代の土器の展示物の前を何の感慨も覚えずに素通りする。私もその一人だ。ただ次回からは古代の人々の手の温もりを感じることが出来る唯一の贈物であることを少しは感じたい。
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