<文化>のゲネシスを解き明かす場
かつて評論家の小林秀雄が日本の学者連中は「美しい日本語」を使いこなせないから一般人に研究の内容を正しく伝えることができないと嘆いていた(近代の超克)。私もそう思う。父は研究者(薬学博士)で文系の私にはさっぱり分からいサイエンス用語をお構いなしに使って熱く語りつづけた。社会科学者も同罪だ。やれ形而上学や構造主義、物象化などまくしたてられても頭にも入ってこない。ましてや言語学者がパロールやラング、ランガージュなど言い出したら本末転倒だ。しかし、これから科学はさらに細分化が進み、タコ壺のなかでしか通じない「方言」で溢れていくにちがいない。
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