明治三十年代 浪漫主義思潮の台頭
高校時代、美術部の友人に誘われて久留米の石橋美術館に行ったときの感動は忘れられない。ブリヂストン創業者の石橋正二郎氏が設立した美術館で、坂本繫二郎、青木繁、黒田清輝、藤島武二、古賀春江など近代日本洋画界を代表する画家の絵画がキラキラと輝く星のように展示されていたのだ。若かった私は坂本繁二郎の名画に目もくれず、青木繁の<海の幸><わだつみのいろこの宮>に釘付けになった。それから月日が流れ、海外出張の際、時間の合間を見ては美術館を訪問したが日本の洋画壇はあきらかに日本独自の分野を切り拓いていったことが改めて実感できた。
NAMIDA Booksについて