勝負から土俵裏まで
福岡の実家の裏に古い神社があり九州場所になると高嶋部屋の力士が稽古をしていた。ぶつかり稽古の大きな声が早朝から自分の部屋まで届いていた。家の前を力士が通ると鬢付け油の匂いがして我が家の犬リオが必ず吠えた。この部屋には大関まで昇進した大受関がいた。押し一徹の力士だった。小学生の時、親戚に連れられて、初めて桝席に座って観戦した。大受の対戦相手は人気力士の貴ノ花(父親)だった。会場は貴ノ花の応援で一色になった。熱戦の末、大受が押し出しで勝った。あまりにも大喜びをしたので、その晩の相撲ダイジェストという番組に私の姿が映し出されていた。
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