I盆栽を楽しむ心、II発達の歴史
木々を狭い盆の中に閉じ込めて異形に育て「自然の支配者」でもなったつもりか。盆栽は西洋人の感覚にはわかりづらい。しかし閉じ込めているのではなく祀っているのだ。むしろ畏怖さえしているのだ。美しい森や海に囲まれた日本では神々は自然の中にこそ存在する。その自然を俳句のごとく切り取り、手元で丹念に育てる盆栽は日本人の人生観、宇宙観の究極の造形表現に違いない。祖父が残した盆栽を破棄するのか、それとも精神的遺産として継承するのか、日本人としての素養が問われているかのようだ。