現代俳句について
知識人にとって敗戦のショックがどれだけ大きく自信喪失させたのかは桑原武夫氏の「第二芸術論」を読めば痛いほど分かる。彼は現代俳句などは芸術ではなく第二の芸術だと罵倒する。近代人の確立を目指すフランス文学こそが真の芸術だとまくしたてるのだった。何故そこまで俳句を目の敵にしなければならなかったのか。俳句の中に日本人の伝統気質の原点を感じ、それが先の狂気の戦争を想起させたのではなかろうか。しかし日本の俳句や日本画の「余白」にもっとも影響を受けたのは実は印象派をはじめフランス人芸術家だった。後に桑原氏は京都大学の名誉教授となり文化勲章を授与されている。