三遊亭好生「夢金」1981年
教養がないから歌舞伎や落語のような襲名のある世界は誰が誰だかわからなくなる。まるで老舗の同族会社の歴代社長のようだ。それはさておき、人はなぜストーリーやオチが分かっているにも関わらず古い作品に何度も感動するのだろうか。古典落語の「夢金」に至っては江戸時代中期に書かれたものだ。なんと田沼意次が老中の時代だ。当時の侍、町民、農民と令和のサラリーマンとでは笑いのポイントがまるで違うはずだ。それでも扇子ひとつで軽々と時代を跳び越えて、客を魅了する芸はまさに神がかりだ。そこに噺家の凄みを感じる。