横井小楠の思想
革命思想家とは何だろうか、と思うことがある。はじめは世間の日常からはぐれた<ちぎれ雲のような思想>が浮いているだけだ。ところが歴史の舞台が廻り始めると、そこに小さな手足がつき性急な理想家による無計画な暴発が起こる。蜂起は失敗に終わる。しかし次第に現実的で実学的な人々も参加しはじめると、ちぎれ雲の手足が太く逞しくなる。こうなると本格的な革命運動に発展する。しかし政権奪取に成功すると、ちぎれ雲は霧散して見えなくなり、残るは鋼鉄のような手足だけになる。そして反動的な粛清がはじまるのだ。革命家の思想は書籍の中に封印され沈殿していく。