感性が消えてしまう前に
年齢を重ねると、どうして感性が摩耗してしまうのだろうか。高校時代、学生新聞の片隅に添えられていた他のクラスの生徒の詩に触れた時、胸が高鳴り授業どころではなくなった。 /古い団地の路地裏から見上げた空は/あんまり元気のない雲が/空いっぱいにねそべって/とても降りそうにないのにね/一人でこうして歩いてるとね/ミニサイクル/笑い声/ブルーの夏服の女の子/干してある色とりどりの布団/みんなとってもじゃまだから/雨でも降ればいいのにね/ アルチュール・ランボーや立原道造の詩は忘れてしまったが、今でもこの詩だけは暗唱できる。あの時の感動が化石になって微かに残っている。