時間の記憶と逆流
学生時代に理系の先輩から「知っているか、時間は膨張したり縮小しているんだ」と言われた。たしかに退屈な授業は長く感じ、彼女とのデートは短く感じた。誰しもが感じていることだ。「だったら時間が止まったり、逆流することはできるのですか」と先輩に聞くと「それは、わからんね」と首を振った。私の人生は失敗だらけで、もし、あの時に戻れたら、と思うことばかりだ。<後悔先に立たず>は名言だと思う。しかし、もし時間が逆流できたら明智光秀は本能寺を大人しく通過しただろうか、私は父親の期待を裏切らず受験勉強に励んだだろうか、どちらとも無理そうな話のような気がする。